「何で乙女?なの」・・私も思いました。
実は、50年以上の歴史のある由緒正しい日之出製”ぞうきん”なのです。
はじめは三河地方特産の「ガラ紡」製でした
30年前に、特紡(特殊紡績糸)になってからもずっと、豊橋の
芳賀織布工場さんのシャトル織機で織られてきました。
タオル雑巾に比べ、吸水性に優れ、毛羽も出ません。
ただのぞうきんなのですが、されどぞうきんです。
「”乙女雑巾”が指名入札になりました。お安くなりませんか?」
問屋さんからお電話が入ります。
「無理です!」だって一枚~十円ですから・・。
またある時は、一般のお客様から
「”夫婦?雑巾”ありますか?」
乙女雑巾は、ほとんど問屋さん経由で、業務用や合羽橋で販売されているらしい・・
厚手で丈夫なため、鍋つかみ兼用で、プロ用雑巾として使われているようです。
昔から使っているパッケージには、日之出の社名はありますが、住所も
電話番号も記載していません。
年に数回、個人のお客様が、わざわざ探してお電話下さいます。
「以前は、東京の○○デパートで買ったのに、どこにも無くて困っています。」
ありがたいことです。どんな風にお使いくださっているのですか。
「乙女雑巾の網目が面白いので、陶芸教室で作品に模様を付けたり、
机や、粘土を拭き取ったり大活躍です。」
嬉しいです。家の子が褒められたような気分です。
「絶対に製造やめないでね。」
数量も昔の何十分の一に減ってしまい、利益も無いに等しいけれど
続けるつもりでした・・お客様の声が嬉しいので。
でも、昨年末、芳賀さんから乙女雑巾の織機をやめたいと申し入れが有りました。
芳賀さんは今、美しい野蚕のショールを織っていらっしゃいます。
手間は、あんまり変わらないのに、乙女雑巾は、メーター~百円、
絹のショールは、~千円です。
芳賀さんごめんなさい。
止めるのも無理ないです。
値上げもほとんどせず、黙って織り続けて下さったのですね。
芳賀さんの息子さん達は、それぞれ立派な会社に勤めていらっしゃいます。
「初めから、継がせる気は無かった・・。」そうです。
淋しいです・・。
隠れた人気がある商品でしたから、もっとやりようがあったのでは・・
と反省します。
芳賀さんのシャトル織機で織った生地は独特の風合いがあって大好きです。
日之出のリサイクル帆布”由布”だけでも、ず~っと織り続けて下さいね・・。
心よりお願い申し上げます。